ワンフロアで生活ができる「平屋」。シニア世代が老後を迎えるにあたって、安全性が高い「平屋」は人気が高まりつつあります。老後の生活を快適にしてくれる「平屋」について、魅力やポイントなど建てるときの基本情報を詳しく紹介します。
自分の好きなことをやりたい、趣味を楽しむための家があるとセカンドライフが充実します。それに合わせた設計をしましょう!
シニア向けの平屋の魅力4つ
平屋は、階段を上り下りする必要がありません。ワンフロアで暮らせるうえに、動線が良い間取りが設計できます。ここでは、平屋がシニアに魅力的な理由やメリットなどについてお話します。
①上下階の移動がない安全性の高さ
平屋の1つ目の魅力は、階段の上下移動がないことです。年齢が上がると、筋力の低下やヒザの痛みなどから、階段の上り下りが辛くなりがちです。
平屋では、暮らしのすべてをワンフロア(1階)にまとめられます。階段の上下移動がなくなることで、転倒や転落が原因のケガの危険性が減ります。
さらに、平屋の場合は段差が少ないバリアフリー設計がしやすいです。移動の自由度が高まるため、足が不自由になった場合でも、平屋なら安全に移動ができるでしょう。
②ワンフロアで居住空間が完成する
平屋のメリットは、移動が楽というところです。ワンフロアに暮らしのすべてをまとめることで、部屋の移動がスムーズに。また、家事の負担も軽減されます。
ご夫婦や一人で暮らす場合など、平屋なら人数に合わせて部屋数をおさえたコンパクトな間取りで設計可能です。動線が簡潔なので、移動がしやすく何をするにもストレスフリー。快適な居住空間で、老後生活をサポートしてくれます。
③シニア向けのバリアフリー設計が可能
平屋の3つ目の魅力は、バリアフリー設計で安全性を高められるところです。バリアフリー設計とは、高齢の方を含めたすべての人々が暮らすときに、障がいとなるものをなくした設計のこと。
例えば、段差をなくして移動をスムーズにする、手すりを取り付けて転倒を防ぐ工夫などもバリアフリー設計です。また、温度差をなくしてヒートショック予防をすることもバリアフリー設計の一部です。
平屋は1階建てなので、段差を少なくしたり手すりを取り付けたりしやすく、バリアフリー設計を取り入れるのに適しています。
④光熱費やメンテナンス費用が節約できる
平屋のメリットは、メンテナンス費用や光熱費が節約できる点です。
住まいを建てたら、家の寿命を延ばすためにもメンテナンス(修繕)をしなければなりません。例えば「外壁」は、約10〜15年ごとにメンテナンスが必要とされています。外壁の修理は、家のメンテナンスのなかでも高額になりやすい部分です。
しかし、平屋は外壁の面積が狭く、外壁材の使用量が少なくすみ、結果的にコストがおさえられます。足場も低く組めるので、足場代もコストカット可能。作業日数も短くすむので、人件費も節約できます。
また、平屋は一般的な2階建てよりも冷暖房を逃がしにくい構造をしています。ワンフロアにまとまっているため、2階に冷気や暖気を逃がすことがなく、冷暖房の効率がアップ。結果、光熱費が2階建てよりも安くすむ場合が多いです。
断熱の仕様は、地域によって要求されるものが違います。住んでいる場所の気候を考えて、断熱仕様を考えましょう。
シニア向け平屋のおすすめの広さ
平屋の大きさ(延床面積:床の面積)は、住む人によって推奨する広さが違います。延床面積をしっかりと理解することで、自分に適切な家がみえてきますよ。ここでは、夫婦・1人暮らしに分けておすすめの広さを解説します。
夫婦の場合
夫婦の場合、コンパクトな平屋であれば、「15坪〜20坪」程度の広さが適しています。15坪〜20坪あれば「1〜2LDK」が設計可能です。必要最低限の生活の場合は「1LDK」、プライベートな部屋がほしい方は「2LDK」を選択しましょう。
ゆったりと広めの家を希望する場合は、「20坪〜30坪」程度が適切でしょう。30坪の広さがあれば「3LDK」を余裕をもって作成できます。間取りの自由度が高くなり、暮らしに合わせたアレンジを取り入れやすくなります。
1人暮らしの場合
1人暮らしの平屋の場合、小さな平屋にする場合は「13坪~15坪坪」=「1LDK」を目安にしましょう。メンテナンスがしやすく、費用面もおさえられます。
面積や部屋数を多くしたいのなら「15坪〜20坪」=「2LDK」がおすすめです。趣味の部屋と主寝室を分けたり、プライベート空間を区分けしやすくなりますよ。
むやみに広くするとコストがかかってしまうので、趣味を楽しむための必要最低限のスペースを確保しましょう。
シニア向け平屋を設計するときに大事なポイント4つ
設計をするときは、老後の生活を考える必要があります。シニア向けの平屋を建てる際に、気をつけてほしいポイントを4つに分けて紹介します。
①バリアフリー構造にする
シニア世代が安心できる平屋の住まいを設計するうえで、最も重要なことは「バリアフリー設計」を導入することです。バリアフリー設計は以下の5つの点に気をつけてください。
- 小さな段差をなくす
- 手すりやスロープを取り付ける
- 床材の素材などを滑りにくいもので統一する
- ヒートショック(部屋の温度差をなくす)対策をする
- 車イスが余裕をもって通れる広さにする
トイレの回数が多いシニアの方は、寝室とトイレを近くすると便利です。夜にトイレに行くと、足元が見えにくいので転倒するリスクが上がります。トイレへの動線を短くすることで、寝起きでもリスクをおさえて移動できます。
また、車椅子生活にそなえて、キッチンや洗面台の高さを調整することもバリアフリー設計の1つです。足元をオープンにすれば、車いすのままでも水回りが使いやすくなります。ガスコンロではなく、IHクッキングヒーターに変更すれば、住宅火災のリスクも減らせますよ。
②移動しやすい動線を考える
動線には「生活動線」と「家事動線」があり、この2つを意識しながら間取りを作成しましょう。リビングを中心とした動線にしたり、大きい平屋なら回遊性を意識してみてください。ただし、回遊性を意識しすぎると、出入り口が増えてしまい、家具が置けるスペースが減るので注意してください。
③間取りはコンパクトに設計する
コンパクトな間取りの平屋とは、無駄を省いた設計のことを指します。例えば、廊下などを省略することによって、効率的な空間を作りあげることが可能です。壁(間仕切り)の面積を減らすことで、見通しも良くなりますよ。
敷地が狭い場合でも、コンパクトな間取りにすることで、使う資材も減らし、コストカットできる場合もあります。家族と住むときも、コミュニケーションも取りやすいですよ。
④スペースがあればウッドデッキ(縁側)を設置する
スペースがある平屋を作るのなら、ウッドデッキやテラス、縁側を作るのもおすすめ。ウッドデッキ類は必須ではありませんが、ゆっくりとした時間を気軽に過ごせるので、シニア層の方に人気の高い設備です。
園芸を同時に楽しめば、四季折々の景色も楽しめます。洗濯物を干すスペースとしても有効です。ポイントは平屋の床と高さを合わせること。フラットに設計することで、移動がしやすくなり、窓を開けたときの開放感も高まります。
シニア世代が快適に暮らせる間取り3選
シニア向け平屋の間取りを、夫婦・1人暮らしに分けて紹介します。体への負担を軽減する工夫や第二の人生を楽しむアイデアが満載です。ぜひ参考にして、自分に合った間取りを見つけてください。
シニア夫婦向け平屋の間取り2選
【2LDK+納屋】木の温もりにあふれた平屋「COVACO‐コバコ‐」
施工会社 | ヒロ建工 |
価格 / 坪単価 | 1,382万円 / (51.6万円/坪) |
延床面積 | 26.8坪/88.67㎡ |
敷地面積 | 71.7坪/237.09㎡ |
ナチュラルな木の温かさが魅力の平屋です。インナーガレージ付きなので、車やバイクのメンテナンスをする際にもピッタリ。リビングと玄関につながるウッドデッキにテーブルを置けば、ゆったりとした時間が過ごせます。
2LDKではありますが、納屋を客間としても使えます。空間によってアレンジが可能なので、趣味をたくさん楽しみたい人におすすめの間取りです。
【3LDK】冬でもポカポカ!外張W断熱の平屋
施工会社 | アエラホーム |
価格 / 坪単価 | 2,200万円~2,299万円 / (77.3万円~80.7万円/坪) |
延床面積 | 28.4坪 / 94.20㎡ |
敷地面積 | 62.0坪/205㎡ |
高気密・高断熱で暮らせる平屋の「アエラホーム」の実例です。夏場は暑いとされる平屋でも、涼しく快適になるように建てられています。
キッチンやパントリー、お風呂などを玄関から見て奥に配置することで、生活感を感じさせないリビングを演出。主寝室にウォークインクローゼットがあるので、収納力も抜群です。
1人暮らし向け平屋の間取り
【1LDK】移動がしやすい輸入住宅の平屋!セカンドライフをおしゃれにすごす
施工会社 | パステルパレット |
価格 / 坪単価 | ~1,499万円 /(~84.7万円/坪) |
延床面積 | 17.6坪 / 58.51㎡ |
敷地面積 | 46.2坪 / 153.03㎡ |
輸入住宅スタイルのシンプルながらオシャレさも感じさせる平屋です。リビングと寝室の壁をなくすことでフラットな設計となり、光熱費も節約しやすい作りとなっています。
収納場所も寝室と玄関に配置されているので、散らかりにくい家に。アクセントウォールをキッチンに配置することで、来客の目から隠せるようになっています。
シニアが暮らしやすい平屋を作って快適な老後をすごそう
シニア世代が快適に暮らせる平屋のポイントを紹介しました。バリアフリー設計を取り入れやすい平屋は、老後の終の住処にピッタリの家です。セカンドライフを楽しめる平屋を作れば、楽しい毎日が待っています。
平屋の設計ポイントをよく理解し、オシャレで機能的な平屋を建てましょう!
シニアが暮らすときの平屋の大きさ
- 夫婦でコンパクトに暮らすなら「20坪〜25坪」
- 夫婦でゆとりをもつなら「28坪〜30坪」
- 1人暮らしなら「15坪〜19坪」
おすすめの広さは暮らすときの人数・目的などで変わります。趣味の部屋を作りたいのなら、納屋つきの平屋もいいでしょう。バリアフリー化したときのことを考えて、生活動線上は広くするのもおすすめです。
シニア向け平屋を設計するときに大事なポイント
- バリアフリー設計にする
- 段差のないフラットな床にする
- 間取りはコンパクトに設計
- スムーズに動ける動線を作成する
- ウッドデッキや縁側があるとリラックスできる
一番大事なポイントは”バリアフリー”な家を建てるという部分です。身体的に不便があっても快適にすごせる生活環境があれば、何かあったときも安心。部屋間の移動がしやすくなれば、生活をするうえでのストレスも減ります。